
BGMのコーナーで、セゴビアのCDを紹介したりしていましたので、前からギターは好きだったのですが、なぜだか自分でやってみようとは考えてみたことがありませんでした。でも、最近なぜか無性に楽器がやってみたくなって、とうとうギターを習い始めました。
音楽というのは、大部分の人が聴くだけ、せいぜいカラオケを歌うだけだと思います。でも、受け身で聴くのと、自分でやるのとでは、当然ですが全く違います。うまい下手の問題ではなく、自分で音楽をやるというのは、なにか非常に深い魂の次元の行為だという気がするのです。
自分で音楽をやることによって、自分の中の奥深い部分が、非常に喜び、慰められるような気がします。それがつまり、芸術というものの本質なのかもしれませんが、自分自身がそういうものを必要としているということに気付いたのは、本当にごく最近のことでした。
小さい頃にバイオリンを習ったりして、技術的なレベルで言えば私は「楽器が弾ける」人間でした。でも、自分が本当に音楽を求めて、しかも自分がやりたいと心から思う音楽を演奏したことは、一度たりともなかったと思います。
大人になり、いろんなことをやって、いろんな世界を見て、それでも満たされない思い、癒されない渇きが、自分の中にある、そう自覚し、いったい何を自分は必要としているのだろうか、と考えてみたとき、初めて「音楽」という声が聞こえてきたのでした。
子供のときにピアノなどを習う人は多いと思います。ほとんどの人は無理やり習わされて、受験が始まる前にやめて、そのまま忙しく大人になってしまう。でも、本当に音楽を必要とし、自分のために演奏できるのは、大人になってからなのではないでしょうか。
私の姉も、子供を育てながら、10年以上振りに再びピアノを弾きはじめています。
私の周りの何人もの友人も、ハープやアコーディオンなど、自分のために楽器を習い始めています。
あなたも、自分のために、ぜひ音楽を。
自分の部屋の中に、譜面立てと音叉とメトロノームがある生活というのは、なかなか良いものです。
(Aug. 3, 1996)