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小児科、特に気管支喘息について。


はじめに

気管支喘息は増加傾向にあり、実際にお子さんを診断された方も少なくないと思い ます。初めて診断された時は、かなりびっくりされた方もおられるでしょう。気管支 喘息とはどんな病気なのか、外来で詳しく説明してもらうのは、時間的にも困難だと 思います。初めてこのホームページに書くにあたり、要点をなるべくわかりやすく説 明致します。今回は系統だった説明はなるべく避けて、普段よく耳にする質問を中心 にしてみました。
1.松井純一略歴
2.気管支喘息とはどんな病気か?
3.なぜ気管支喘息になるのか?
4.どんな経過をたどるか?
5.薬による治療は?
6.飲み薬、スプレー、ネブライザーなど様々な方法があるが、どれが優れているか?
7.ステロイド剤の使用は安全か?


1.松井純一略歴

昭和55年
東邦大学医学部卒業、第一小児科入局
昭和56年
同   周産期センタ-
昭和57年
神奈川県厚生連相模原協同病院小児科
昭和58年
東邦大学第一小児科
昭和60年
帝京大学附属溝口病院小児科
昭和63年
東邦大学第一小児科
平成2年
住友重機健保組合浦賀病院小児科
現在に至る


2.気管支喘息とはどんな病気か?


 一言で言ってしまえば、気道(空気の通り道)が敏感な体質で、様々な刺激によっ て急に細くなり、その程度によりヒューヒューゼーゼーしたり、息苦しくなったりす る病気です。

症状としては咳、鼻水くしゃみ(合併するアレルギー性鼻炎によること が多い)、喘鳴(ぜんめい-例のゼーゼーいう音のこと、狭いところを空気が通る、 笛と同じ理屈です。)、息苦しい(空気の通り道が狭くなっているから)、胸廓陥没 (息を吸うときにくびすじ、あばら骨のところがペコペコくぼむ)等が主なものです 。

息苦しい場合発作と呼びます。発作の程度は症状によって細かく分類されています が、今回は割愛します。発作がひどくなると、顔色や爪の色が悪くなったりします。 これらの症状は原則として可逆的(自然に、又は治療によって改善する)です。



3.なぜ気管支喘息になるのか?


気道が過敏だからですが、細かい理由はわかりません。遺伝傾向があるのは確から しく、兄弟、両親、親戚に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚 炎の見られる場合が多いですが、全く見られないこともしょっちゅうあります。乳幼 時期にかかった肺炎、細気管支炎がきっかけになる、という意見もあります。


4.どんな経過をたどるか?

千差万別ですが、最も一般的な例では2〜3歳で発症し7〜8年の経過で改善します。

これは治療によって変化する可能性があります。



5.薬による治療は?

治療は対症療法、予防(原因)療法に分かれます。火事にたとえるなら、消防車と 火の用心との違いと考えていただいてよいでしょう。

対症療法は起きている発作を治める薬で、気管支拡張剤を使います。細くなってい る気道を拡げるのが目的です。薬は大きくキサンチン誘導体とベータ-2刺激剤に分か れます。前者は古くからある薬で、コーヒーのカフェインの仲間です。商品名ではネ オフィリン、テオドール、テオロング、スロービッド、アルビナ(坐薬)等が知られ ます。後者は、前者とは別のメカニズムで働く薬で、併用が可能です。商品名ではメ プチン、ベラチン、ホクナリン、アトック、ベネトリン、ブリカニール、イノリンな どが知られています。

 予防薬は文字どおり発作を予防する薬で、体質改善薬と言ったほうがとおりがいい かもしれません(誇大広告的で私のあまり好きでない表現ですが)。このカテゴリー には抗アレルギ-薬、ステロイド薬が含まれます。前者はアレルギー反応の一部をブ ロックすることで発作を予防することを目的とする薬で、インタール、ザジテン、リ ザベン、アゼプチン、アレギサール、ペミラストン、トリルダンなど多くの種類があ ります。後者はある意味では究極の予防薬ですが、その副作用のため一般的にその使 用には慎重さが求められています(詳細は後述)。

これらの薬を中心に、去痰剤などを組み合わせて処方する事が多いでしょう。


6.飲み薬、スプレー、ネブライザーなど様々な方法があるが、どれが優れているか?


それぞれに長所、短所があります。飲み薬の長所は簡単なこと、中にはまずい薬もあ りますが、工夫でなんとかなります。

欠点として全身投与なので、他の方法より投与量が多くなる事があげられます。即効性の点でもやや劣ります。スプレー、ネブライザー等の吸入療法の長所は逆に薬の投与量が少なくてすむこと、即効性のあることです。

欠点としてスプレーではこつがいるため、幼少児では難しい事、年長児でもスペーサーがあったほうがいい事(必ずしも簡単ではなくなる)、ネブライザーでは方法がやや面倒、衛生に気をつかう、かさばる、電源が必要、初期費用がややかさむ(約3〜40000円)などがあげられます。

ただし即効性があるということは一歩誤ると薬の使いすぎにつながる恐れもあるので、いずれを選択した場合も、医師とよく相談して適切な投与を心がけましょう。


7.ステロイド剤の使用は安全か?


ステロイド剤は現存の薬の中では最も強力な発作予防効果を有します。この内服は普通は特別な場合に行われます(入学試験など絶対に発作がでて欲しくないときなど)。

せいぜい2〜3日間の服用では副作用の心配はほとんどありません。長期間内服す ると典型的なステロイドの副作用(顔がまるくなる、肥満、身長の伸びが悪くなる、 骨がもろくなる、等)の見られることがあります。

このような治療の善し悪しについては担当医とよく御相談ください。スプレーによる治療は、他の薬だけでは発作がコントロールしきれない時に(慢性発作など)使われることが最近激増しました。

これは最近の気管支喘息の病態の考え方(いずれ説明するつもりですが、喘息は炎症反応 である、という考え方がいまでは定説です。炎症を抑える最高の薬は現在のところステロイド、という訳です)に基づくものです。吸入ステロイド(ベコタイド、アルデシン、タウナスなど)は上手に使用すれば全身への副作用は少ないと言われています。ただしまだ結論の出ている段階ではありません。

 ただ、一言付け加えるなら、このような治療を勧められた場合、症状が非常に軽い という事は、おそらく少ないと思います。発作による害と副作用による害、この2つを天秤にかけて考える必要があります。お母さん方がステロイドを嫌うのはいやと言うほど分かっているつもりですが、それでも平和な生活を送るためにステロイド吸入が役にたつことはある、と申し上げておきます。


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